最近よく聞かれるのが「何か特殊な機材を使っているのですか?」ということ。結論から言えば、特に変わったものは使ってません。現在のメイン機種はPanasonic LUMIX G3というカメラ、いわゆるミラーレス一眼です(構造的には一眼レフでない)。もう1台はサブとして使っている、同じくミラーレス一眼のLUMIX GF2というカメラ。何れも中古品で格安に入手したカメラです。レンズは14mm/F2.5と14-42mm/F3.5-5.6の2本です。この機材で気象現象から日常のスナップまで、何でも撮影しています。2本のレンズにはレンズ保護フィルターを装着しています。Kenko MC PROTECTORという安価なフィルターです。画質を第一に考えると、フィルターは装着しない方が良いに決まっていますが、荒天時は、雨、雹、強風による埃など、レンズを傷める要素が沢山迫ってきます。レンズを傷めるより、フィルターを装着したほうが利口だという判断です。ただし、逆光での撮影時には面倒でも外しています。
以前はAPS-Cサイズのデジタル一眼レフを何台か乗り継ぎました。ストームチェイサーにとって、一番大事なことは、事が起きた時にその場に居ることです。APS-Cサイズの一眼レフでは、たとえコンパクトなエントリーモデルであっても常に持ち歩くことが苦痛になります。かと言ってコンパクトデジカメでは耐久性の問題、設定の自由度など、マイナス要素があります。そこで、その中間に位置するマイクロフォーサーズを選びました。小型軽量でありながら、一眼レフと同等の撮影機能が使えます。小型センサーゆえ、高感度の画質はAPS-Cサイズより劣ります。しかし、動画に関してはAFの抜けも少なく、こちらの方が一枚上手と言っていいと思います。何より、バリアングル液晶+ライブビュー撮影の快適さは、慣れてしまうとファインダーを覗くスタイルに戻れないほどです。
雷撮影時に、ライブビューの表示タイムラグがどのくらい影響するか心配していましたが、特に問題はありませんでした。LUMIX G3の場合、電子シャッター使用で20コマ/秒の高速連写が使えますが、CMOS電子シャッターではローリングシャッター現象が出てしまいます。動体撮影時の歪み、雷のような強い光源で画面に明暗差が出てしまいます。こんな写真は作例以外で全く使い物になりませんので、電子シャッターはNGです(下の写真参照)。
ローリングシャッター現象が顕著に現れた例(明暗差)。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.撮影中に毎回苦労しているのがホワイトバランス(以下WB)です。基本的に雨や曇天での撮影になります。WBオートが基本ですが、どうしてもシアン系の色被りが多く、RAW+JPGで撮影して、RAW現像でWBを補正しています。RAW現像ソフトは市川ソフトラボラトリーSILKYPIXをVer.3より愛用しています。Ver.5になり、1枚の画像からHDR効果を得られるようになり、表現の幅が広がりました。そして、最近導入した機材がCBL LENSです。このツールを使用してWBの白セットを行うと、複雑な光源下でも自然な発色が得られます。まだまだ試用の段階ですが、人工の光源がある場合に威力を発揮するように思います。
メイン撮影機材のLUMIX G3+14-42mmとCBL LENS。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.ワタシが目指しているのは単なる状況写真や研究素材ではなく、作品として通用する気象写真です。来るべきシーズンに向けて、着々と準備を進めています。
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