過去に国内で発生した最大級の竜巻はF3(推定風速70~92m/s)です。1990年に千葉県茂原市で発生した竜巻では大型ダンプカーが吹き飛ぶ被害が、1999年に愛知県豊橋市で発生した竜巻では400名を超える負傷者が、2006年の佐呂間町で発生した竜巻では建設現場のプレハブ小屋が吹き飛び多数の死傷者が、2012年のつくば市で発生した竜巻では2階建ての住宅が土台ごと外れて吹き飛ぶ被害が出ています。移動距離の長さ、被害範囲を考えると、つくば市の竜巻が国内最大級と言えるかもしれません。
国内で発生したF3の竜巻
2012年5月6日 茨城県つくば市 死者1名 負傷者37名 住宅全壊76戸 半壊158戸
F3*寒気を伴う気圧の谷により発生。スーパーセル。被害範囲は国内最大級。
2006年11月7日 北海道佐呂間町 死者9名 負傷者31名 住宅全壊7戸 半壊7戸
F3*寒冷前線に向かって暖気が移流した影響で発生。スーパーセル。
1999年9月24日 愛知県豊橋市 負傷者415名 住宅全壊40戸 半壊309戸
F3*台風のアウターバンド(外縁部降雨帯)により発生。台風。
1990年12月11日 千葉県茂原市 死者1名 負傷者73名 住宅全壊82戸 半壊161戸
F3*寒冷前線に向かって暖気が移流した影響で発生。スーパーセル。
何れもリアルタイムで風速を測定した訳ではなく、事後に被害状況から判断してF3と推定されています。実際の風速は不明で、どこで発生した竜巻が最も強かったのか、判断することはできません。下に記載した宮崎県延岡の竜巻はF2と推定されていますが、電車を脱線転覆させるほどの威力です。電車1両の重量は約30t前後、瞬間的にはF3を超える風速だったかもしれません。
*藤田スケールに示される風速は実測値ではなく、被害状況の大きさを示す推定風速です。
2008年8月31日 筑波山上空に漏斗雲。
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近年大きな被害を出した竜巻
2011年11月18日 鹿児島県大島郡徳之島町 死者3名 住宅全壊1戸
F22009年7月27日 群馬県館林市 負傷者21名 住宅全壊14戸 半壊24戸
F1~
F22009年7月19日 岡山県美作市 負傷者2名 住宅全壊2戸 半壊11戸
F22006年9月17日 宮崎県延岡市 死者3名 負傷者143名 JR日豊本線にちりん9号脱線転覆
F2*住宅の一部損壊、非住宅の損壊は含まれていません。
2009年7月27日 群馬県館林市で竜巻が発生してから約1時間半後に、栃木県南部にて撮影。マルチセルにより同時多発的な集中豪雨が発生しました。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.*関連記事 「藤田スケール - F-Scale」
http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/1/
*国内最大級のダウンバースト
・1996年7月15日 茨城県下館市(現筑西市) 死者1名 負傷者19名 住宅全壊1戸 半壊69戸
F1~
F2国内で観測された最大級のダウンバースト。ピンポン玉大の雹が降り、農業被害は34.8億円。上記の下館市で発生したダウンバーストは、ワタシ自身も体験しています。
同日同時刻、栃木県小山市でもダウンバーストが発生しています。小山絹滑空場(鬼怒川河川敷右岸)では、係留中のグライダーが横転するなどの被害が出ています。
・1996年7月15日 栃木県小山市 住宅半壊71戸 F0~
F1*関連記事 「ダウンバースト - Downburst」
http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/9/2010年7月24日、突風により風塵(ふうじん)が発生しました。栃木県真岡市近郊にて撮影しました。助手席の窓から身を乗り出して撮影したため、ブレています。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.2010年7月24日 栃木県真岡市 住宅一部損壊6戸 倒木など F0(ダウンバースト)
*住宅の一部損壊、非住宅の損壊は含まれていません。
*ダウンバーストとは、強い下降気流による吹き降ろしの冷たい突風。下降噴流とも言います。
*下降気流と暖かい空気が衝突すると局地的な寒冷前線(ガストフロント)が発生します。
*風塵(ふうじん)とは、強風で巻き上げられた砂や土埃により、視程を遮られることです。
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