忍者ブログ

The Storm Chaser

  
カテゴリー「データベース」の記事一覧

改良藤田スケール - EF-Scale

2013年5月20日、アメリカ・オクラホマ州を大規模な竜巻が襲いました。現地メディアの報道によると、竜巻の強度はEF5に相当すると見られています。前日の19日にもオクラホマ、カンザスで、15日にはテキサスで竜巻による大きな被害が出ています。共通しているのは、何れも単独ではなく複数の竜巻が発生していることです。

アメリカ中西部に位置するオクラホマ州は、トルネードアレイのど真ん中。北にカンザス、南にテキサス、何れも竜巻の多発する洲です。トルネードアレイとは竜巻の通り道を意味し、日本ではトルネード街道とも呼ばれます。俗にトルネード街道と呼ばれるのは次の州で、オクラホマ、カンザス、テキサス、ネブラスカ、ミズーリ、イリノイ、アイオワ、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダ、サウスダコタとコロラドの一部です。ロッキー山脈とアパラチア山脈の間に位置する中西部から南部内陸部は、アメリカ国内でも特に竜巻の発生頻度が高く、過去に何度も大きな被害が出ている地域です。過去20年の統計で、5月は竜巻が最も多発する時期です。

竜巻の被害を表す等級として、日本では藤田スケール・Fスケールが一般的ですが、アメリカでは2007年2月より改良藤田スケール・EFスケールが採用されています。藤田スケールで定義された風速と、実際の被害状況が近くなるように改良され、2006年にNWS(アメリカ国立気象局)によりEnhanced Fujita Scale(EFスケール)として公表されました。2013年5月現在、日本では従来型の藤田スケール・Fスケールが採用されています。

*Enhanced Fujita Scale http://www.spc.noaa.gov/faq/tornado/ef-scale.html(外部リンク)

EF0 軽微な被害(29~38m/s)
EF1 中程度の被害(39~49m/s)
EF2 大きな被害(50~60m/s)
EF3 重大な被害(61~74m/s)
EF4 壊滅的な被害(75~89m/s)
EF5 あり得ないほどの甚大な被害(90m/s以上)

当ブログでは従来型のFスケールを使用してきましたが、今後は日本で発生したものはFスケール、2007年2月以降にアメリカで発生したものはEFスケールと使い分けたいと思います。

ガストフロント

ガストフロント。写真はイメージであり、日本で撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*関連記事「藤田スケール - F-Scale」 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/1/
*関連記事「トルネード街道 - Tornado Alley」 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/8/

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

日本の雷多発地帯

以前、世界の雷三大多発地帯を記事にしたことがありますが、今回は日本の雷多発地帯をランキング形式で書いてみたいと思います。一般的に、雷日本一は栃木県と言われていますが、実際のところはどうなんでしょうか?年間の雷発生日数で上位10県を記してみます。

*2011年のデータ集計であり、順位は常に変動しています。端数は四捨五入しています。

■ 1位 石川県 年間雷日数、42日
■ 2位 福井県 年間雷日数、35日
■ 3位 新潟県 年間雷日数、35日
■ 4位 富山県 年間雷日数、32日
■ 5位 秋田県 年間雷日数、31日
■ 6位 熊本県 年間雷日数、27日
■ 7位 鳥取県 年間雷日数、26日
■ 8位 島根県 年間雷日数、25日
■ 9位 鹿児島県 年間雷日数、25日
■ 10位 栃木県 年間雷日数、25日

上記の通り日本海側の県が多数ランクインしています。意外なことに、雷都宇都宮で有名な栃木県は10位でした。他にも台風や梅雨前線の影響を受けやすい沖縄県もランク外、年間22日で15位でした。最も少ないのは北海道で年間9日です。雷が最も多く発生するのは8月で、地域別に見ると太平洋側が約6割、日本海側が約4割となっています。30年間の平均値(1971年~2000年)を見ても、東京11日、大阪15日、名古屋17日、宇都宮24日、札幌8日、仙台9日、広島13日、高知15日、福岡22日、鹿児島23日、那覇21日、新潟31日、金沢37日、やはり日本海側で多くなっています。

上位10位のうち、実に7県が日本海側に位置する県です。本州から九州では4月頃から10月頃に日射による熱雷の発生が多くなりますが、冬に雷が発生することはほとんどありません。一方日本海では、晩秋から冬に大陸からの冷たい北西風と対馬暖流の温度差により雷雲が発生します。日本海で雷が多発するのは11月頃から3月頃です。つまり日本海側では1年中雷が発生し、シーズンオフがないことがわかります。日本一の雷多発地帯は、秋田県から鳥取県までの日本海沿岸部、中でも北陸地方が飛び抜けて多くなっています。

雷で有名な北関東ですが、栃木県は年間25日で10位、群馬県は年間20日で17位、茨城県は年間17日で26位でした。理由は雷の発生が5月から8月に集中しているためで、冬期には全く発生しない月もあります。逆に考えれば、夏季のみのデータで集計すれば、北関東も上位に入ってくることになります。栃木県が雷日本一なのは夏季の熱雷に限った話であり、トータルの雷日数では、石川県が断トツの日本一でした。参考資料、気象庁HP・雷の観測と統計。

*関連記事・・・雷三大多発地帯 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/14/
*関連記事・・・Lightning Photography http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/47/
*関連記事・・・雷街道 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/84/

雷

太平洋側は夏季に雷が集中し、冬期の発生はごく少ない。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

冬季雷の発生と同時に、冬の日本海では竜巻の発生数も多くなっています。内陸で発生するスーパーセルタイプの竜巻とは違い、海風前線や局地前線で発生する、非スーパーセルタイプの竜巻が多くなっています。冬季雷、非スーパーセルタイプの竜巻、豪雪、冬の日本海は独特の気象なんですね。冬季雷は日本海と北欧の一部でしか見られない、珍しい現象だと言われています。





*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

雷三大多発地帯

世界一の雷多発地帯は、オーストラリア北部に位置するダーウィンです。北から(海から)の暖かく湿った空気と南から(内陸から)の乾いた空気が衝突し、積乱雲を発達させます。最盛期の12月~1月頃になると1秒間に1回落雷があるとも言われ、世界中から研究者が集まってきます。俗に、ダーウィン、中央アフリカ、アマゾンの3ヶ所が、雷の三大多発地帯と呼ばれています。他にも、メキシコ湾沿岸部、南アメリカ、ヒマラヤ、東南アジアでの発生頻度が高くなっています。全世界で1日に発生する雷は約400万回、毎年約2,000人が落雷で命を落としています。

世界の雷発生頻度 / Global Lightning Frequency(外部リンク)
Herald Sun / オーストラリア南部で24時間に173,000回の落雷(外部リンク)

一方、日本に目を向けてみると、台風や梅雨前線の影響を受けやすい九州・沖縄地方、冬季に北西風の影響を受けやすい北陸・東北の日本海側、地形の影響で日射による上昇気流が発生しやすい関東地方内陸部で多く発生しています。中でも夏季(5月~8月)の北関東3県(栃木・群馬・茨城)は雷が多発し、落雷の激しさでも群を抜いています。雷が信仰の対象になっているほどで、栃木県、茨城県、群馬県、福島県の一部では雷を「らいさま」と呼んでいます。

*関連リンク・・・日本の雷多発地帯 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/88/

雷

2010年、田園地帯に轟く雷鳴、北関東では夏の風物詩。© Yutaka Aoki. All rights reserved.



*雷の種類を簡単に説明します。

・熱雷(ねつらい)・・・地表の熱による上昇気流で発生する積乱雲から生じる雷。夕立。
・界雷(かいらい)・・・寒冷前線、温暖前線など、前線付近で発生する積乱雲より生じる雷。
・熱界雷(ねつかいらい)・・・上昇気流と前線の複合要因で発生する積乱雲から生じる雷。
・渦雷(うずらい・からい)・・・台風、低気圧の上昇気流で発生する積乱雲から生じる雷。
・幕電(まくでん)・・・雲内部での放電、雷光の反射により、積乱雲が光って見える現象。
・他にも、火山の噴火や砂嵐の発生時に生じる雷もある。

落雷

2008年、夜空を駆ける晩秋の雷。盛夏の勢いはない。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

雷は季節に関係なく発生しますが、太平洋側は4~10月頃、日本海側は11~3月頃に多くなります。近年、本州の雷日数が増加傾向で、落雷による事故・障害も増えています。

最近の事例
2013年5月15日 沖縄県那覇市 那覇市松尾の5階建てビルに落雷、壁の一部が崩れる。
2012年11月8日 羽田発富山行きの全日空機883便に落雷、機首部分がへこむ。
2011年7月19日 茨城県大洗町 国道51号線で工事中のクレーン車に落雷 負傷者2名
2010年9月23日 千葉県いすみ市 大原小学校校庭で祭りの神輿に落雷 負傷者34名
2010年7月25日 茨城県水戸市 落雷による火災が2件発生 県内2万3500世帯で停電



雷は積乱雲内部で雹や霰がぶつかり合って静電気が大量に蓄積され、蓄え切れなくなった時に放電(落雷)が起こると言われています。乾燥する季節、衣服などが擦れて静電気が蓄積され、ドアノブなどに触れた時に「バチッ!」とくる静電気による放電、これも落雷と同じ原理です。

*落雷発生の原因については諸説あり、現在でも完全に解明されていません。

anvil crawler

2008年10月27日、東日本上空を-22℃の寒気が通過し、関東地方で局地的に雷雨が発生した。この年、東京の雷日数は24日になり、過去最多となった。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

Yutaka Aoki
■ 北関東で嵐を追っています。


■ サイト運営を維持するため、
↑ クリックお願いします。

著作本の紹介

ストーム・チェイサー 夢と嵐を追い求めて
■ 著作本です!どうぞよろしく!

テレビ・ラジオ出演

WOWOW 映画工房
FMもおか MOKAでチョーのもおか
ウェザーニュースLiVE
茨城放送 だっぺ帝国の逆襲
フジテレビ とくダネ!
フジ 激撮!日本の緊急事態24時
ABC 雨上がりのAさんの話
BS-TBS こころふれあい紀行
TBS あさチャン!
埼玉発見バラエティ アマチアス
TOKYO FM Honda Smile Mission
茨城放送 MUSIC STATE
ラヂオつくば What tsukuba
TBS クレイジージャーニー
Weathernews SOLiVE24
ニッポン放送 上柳昌彦あさぼらけ
ラヂオつくば つくばミーティング
いばキラTV 週間いばスタ
ケーブルテレビ う・ら・ら 茨城
イバラキングのごじゃっぺラジオZ
茨城放送 スマイルスマイル plus i
ケーブルテレビ CC9ニュース
日本テレビ 沸騰ワード10
ラヂオつくば You've got 84.2
いばキラTV いばキラPeople
TBS アイ・アム・冒険少年
MBS 情熱大陸
BS朝日 ボクらの地球
NHKニュース おはよう日本
テレビ朝日 奇跡の地球物語
MBSラジオ 朝からてんコモリ!

写真展

2019年 荒ぶる空
茨城県つくば市 矢中の杜

2018年 空 / 日本の四季
埼玉県防災学習センター

2017年 夏の気象
埼玉県防災学習センター

2017年 カミナリとアート
群馬県立館林美術館

2015年 ストーム・チェイサー
茨城県つくば市 カフェリブロ

お問い合わせ

mail

各種取材、執筆、画像提供など、
メールにてお問い合わせ下さい。
当日~数日中に返信いたします。

著作権情報

記事の著作権は(写真・文章)
著作者の青木 豊が保有します。

Copyright © Yutaka Aoki.
All Rights Reserved.

写真・文章の無断転用は厳禁!
事前にお問い合わせください。

最新記事の購読

アーカイブ一覧


PR

Copyright © Yutaka Aoki. All Rights Reserved. /  Powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]