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The Storm Chaser

  

梅雨明けと雷雨

2012年7月17日、四国、中国、近畿、東海、関東甲信で梅雨が明けました。梅雨明け10日とも言われるように、梅雨明け直後は太平洋高気圧の勢力が強まり、気温の高い日が続きます。この日、群馬県館林市では39.2℃を観測しています。地元、茨城県筑西市でも35.3℃を観測し、今シーズン初の猛暑日になりました。

気温が上がると北関東の山沿いで上昇気流が発生し、雨雲が発達します。午後になり、北の方に2つのかなとこ雲(栃木県北部、茨城県北部)、西の方にもかなとこ雲が見えました(埼玉県北部、群馬県南部)。北関東3県では激しい雷雨になり、竜巻注意情報が発表されました。5月6日の竜巻発生以降、筑西市では防災無線を使って竜巻注意情報を放送しています。

雷雲

遠雷とともに、どす黒い雲が空を覆う。積乱雲が近づいている証拠だ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

高湿度の状況下で、雲底から降水域に向かってのびるテイルクラウドが現れました。この雲が現れる時は荒れることが多く、積乱雲が発達し強い下降気流が生じている証拠でもあります。

テイルクラウド

降水域に向かってのびるテイルクラウド。この雲が出たら要注意、荒れる前兆だ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

徐々に雷の音が近くなり、緊張が走ります。撮影していて何が怖いかと聞かれたら、迷わず雷と答えます。車の中に移動し、わずかに開けた窓の隙間から撮影を続けます。

メソサイクロン

危険を回避しながら出来るだけ雲に近づく。それがストームチェイスの醍醐味。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

大粒の雨が落ちてきたため、ここで撮影終了です。一度の撮影で欲張らず、決して無理はしません。帰りは雨雲の中心に向かって車を走らせましたが、雨は勢いを増し、あっという間に道路が川のようになりました。落雷も凄まじく、信号待ちの車内でも地響きを感じるほどでした。梅雨が明け、北関東は本格的な雷シースンに入ります。

メソサイクロン

回転を伴う積乱雲の雲底、気流の渦が生じている。スーパーセルの特徴だ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

16時25分頃に、栃木県栃木市の数カ所で突風被害が発生しています。倒木やビニールハウス倒壊、風にあおられて転倒した女性が骨折するなどの被害が出ています。

2012年7月17日 栃木県栃木市 負傷者1名 住宅一部損壊など F0(ダウンバースト)

栃木市から撮影場所の筑西市南部まで、直線距離にして約25km、突風発生時刻が16時25分頃、撮影時刻が16時~17時頃、当日同時刻のレーダー画像を見ると、栃木市~小山市~結城市~筑西市にかけて強雨域が広がっています。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

続ストームチェイサー

以前、アメリカのストームチェイサーについて記事を書いたことがあります。今回は、日本におけるストームチェイサーの存在価値について書きたいと思います。

結論から言えば、日本ではストームチェイサーの存在価値はありません。2012年5月6日に北関東を襲った竜巻の後、多くの映像がメディアに流れました。そのほとんどは視聴者提供の映像です。撮影・通信機器の普及により、たまたまその場に居合わせれば、誰でも映像を配信できる世の中です。狙って撮った映像でも、偶然撮れた映像でも、使う側からすれば価値は同じなんです。日本では誰もがストームチェイサーであり、誰もが報道カメラマンである、そう言えるでしょう。

悪天候の追跡をする上で、日本人の気質も障壁になっています。古くから日本人の美徳とされる、遠慮や自粛といった謙虚な姿勢が壁となっています。ワタシは気象・局地現象の写真をネイチャー写真の一部だと考えていますが、残念ながら日本での扱いは災害の写真。いち早く映像を配信しても、日本人の美徳に反する行為と受け取られてしまうこともあります。東日本大震災後の過度の自粛ムードがいい例だと思います。余談ですが、視聴者提供映像は基本的に無償提供であり、謝礼等は一切ありません。希望すれば撮影者として名前くらいは載せてくれますが、収入につながることはありません。

梅雨の晴れ間

2012年6月10日 年中悪天候ばかり撮影している訳ではない。狙うのは自然写真全般だ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

1986年8月に下館市(現筑西市)で発生した台風10号による大洪水、1996年7月に下館市(現筑西市)で発生した国内最大級のダウンバースト、いずれもリアルタイムで遭遇しています。東日本大震災では震度6強の揺れに遭遇し、ライフラインの途絶えた生活も経験しました。ちなみに地震発生日の3月11日は、ワタシの誕生日でもあります。歴史に残るであろう大災害に何度となく遭遇し、自然の怖さを肌で感じています。それでも悪天候を追い続けるのは、荒々しい空に魅せられてしまったからかもしれません。

*昭和61年8月4日、台風10号により小貝川決壊
http://www.city.chikusei.lg.jp/cms/data/doc/1261102290_doc_5.pdf(外部リンク)

日刊スポーツ

2012年6月18日 日刊スポーツ社会面にインタビュー記事が掲載された。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

2012年6月1日の短時間強雨

2012年6月1日、関東地方は気圧の谷となり不安定な空模様になりました。朝のうちに雨が上がり晴れ間が見えていましたが、15時過ぎ頃から天気が急変しました。北西方向から流れてきたどす黒い雲とともに雷鳴が轟き、その後は風雨が強まり、大粒の雨が横から吹きつけてきました。15時台は東南東の風でしたが、16時台になって北風に変わり、気温が6度下がっています。

降水雲

15時過ぎ、雨あしが強まり視界が悪くなってきた。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

茨城県筑西市では15時半~16時15分頃にかけて最も雨が強く、バケツをひっくり返したような雨が降っています。下水溝から雨水が溢れ、一部で道路が冠水しました。悪天候の中の運転は慣れているのですが、久しぶりにハンドルを握る手が緊張しました。筑西市では、1時間に40mmの激しい雨が観測されました。

これから本格的な雨の季節に入ります。偏西風が南に蛇行すると北からの寒気が入りやすくなり、大気の状態が不安定になります。ピンポイント予報などを活用し、マメに情報収集することをオススメします。

冠水

下水溝から道路に溢れ出る雨水。一部で道路が冠水。© Yutaka Aoki. All rights reserved.



郊外および住宅地にて、雨の様子を動画で撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

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