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The Storm Chaser

  

竜巻注意情報の的中率

気象庁では2008年3月より竜巻注意情報が、2010年5月より竜巻発生確度ナウキャストが提供されています。竜巻注意情報の的中率を見ると、2010年の的中率は5%、2011年の的中率は1%、2012年の的中率は3%、有効期間外に発生したものも含めてこの数字です。あまりの的中率の低さに驚かれる方も多いと思います。2012年5月6日に北関東で竜巻が発生して以降、防災無線を通して情報が伝達されるようになりましたが、実際は竜巻注意情報が発表されても、気にせず屋外で活動される方が多いのです。2013年4月26日に栃木県に竜巻注意情報が発表されましたが、私が目にした光景は、農作業に励む方々、自転車で帰宅する学生の姿、犬を連れて散歩中の人、緊張感は全く感じられませんでした。多くの人が感じているのは「どうせ当たらないから」でしょう。本来の目的は注意喚起のはずですが、あまりの的中率の低さにオオカミ少年なってしまったんですね。

*竜巻注意情報とは・・・竜巻などの激しい突風に関する気象情報、警報・注意報ではない。

メソサイクロン

2012年に発表された竜巻注意情報は597回、うち的中は17回、的中率3%。↑写真は2012年7月17日、茨城県西部で撮影、約25km先の栃木県栃木市でダウンバースト発生(F0)。竜巻注意情報あり、有効期間内、竜巻ナウキャスト確度2。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

ガストフロント

2011年に発表された竜巻注意情報は589回、うち的中は8回、的中率1%。↑写真は2011年7月5日、茨城県筑西市で発生したガストフロント(降雹・落雷あり)。竜巻注意情報なし、竜巻ナウキャスト確度不明。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

ダウンバースト

2010年に発表された竜巻注意情報は490回、うち的中は23回、的中率5%。↑写真は2010年7月24日、栃木県真岡市でダウンバースト(F0)により発生した風塵。竜巻注意情報あり、有効期間外、竜巻ナウキャスト確度2。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

竜巻注意情報の有無にかかわらず、雷鳴が聞こえたら突風の恐れがあると考えていた方がいいでしょう。夕立クラスの雷雨でもダウンバーストやガストフロントは度々発生しています。被害報告・目撃情報のないものは発生数としてカウントされていないだけです。例として、2010年7月26日に霞ヶ浦の湖上で巨大な竜巻が発生、住民撮影の映像があるため発生数にカウントされていますが、被害報告がないためFスケールは適用されていません。Fスケールは実測値ではなく被害の大きさを表す等級なので、物的被害がなければ計りようがないのです。

*気象庁 平成24年(2012年)竜巻注意情報の発表状況 http://goo.gl/QNvtO
*気象庁 平成23年(2011年)竜巻注意情報の発表状況 http://goo.gl/5ZW63
*気象庁 平成22年(2010年)竜巻注意情報の発表状況 http://goo.gl/sGUwH

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

改良藤田スケール - EF-Scale

2013年5月20日、アメリカ・オクラホマ州を大規模な竜巻が襲いました。現地メディアの報道によると、竜巻の強度はEF5に相当すると見られています。前日の19日にもオクラホマ、カンザスで、15日にはテキサスで竜巻による大きな被害が出ています。共通しているのは、何れも単独ではなく複数の竜巻が発生していることです。

アメリカ中西部に位置するオクラホマ州は、トルネードアレイのど真ん中。北にカンザス、南にテキサス、何れも竜巻の多発する洲です。トルネードアレイとは竜巻の通り道を意味し、日本ではトルネード街道とも呼ばれます。俗にトルネード街道と呼ばれるのは次の州で、オクラホマ、カンザス、テキサス、ネブラスカ、ミズーリ、イリノイ、アイオワ、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダ、サウスダコタとコロラドの一部です。ロッキー山脈とアパラチア山脈の間に位置する中西部から南部内陸部は、アメリカ国内でも特に竜巻の発生頻度が高く、過去に何度も大きな被害が出ている地域です。過去20年の統計で、5月は竜巻が最も多発する時期です。

竜巻の被害を表す等級として、日本では藤田スケール・Fスケールが一般的ですが、アメリカでは2007年2月より改良藤田スケール・EFスケールが採用されています。藤田スケールで定義された風速と、実際の被害状況が近くなるように改良され、2006年にNWS(アメリカ国立気象局)によりEnhanced Fujita Scale(EFスケール)として公表されました。2013年5月現在、日本では従来型の藤田スケール・Fスケールが採用されています。

*Enhanced Fujita Scale http://www.spc.noaa.gov/faq/tornado/ef-scale.html(外部リンク)

EF0 軽微な被害(29~38m/s)
EF1 中程度の被害(39~49m/s)
EF2 大きな被害(50~60m/s)
EF3 重大な被害(61~74m/s)
EF4 壊滅的な被害(75~89m/s)
EF5 あり得ないほどの甚大な被害(90m/s以上)

当ブログでは従来型のFスケールを使用してきましたが、今後は日本で発生したものはFスケール、2007年2月以降にアメリカで発生したものはEFスケールと使い分けたいと思います。

ガストフロント

ガストフロント。写真はイメージであり、日本で撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*関連記事「藤田スケール - F-Scale」 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/1/
*関連記事「トルネード街道 - Tornado Alley」 http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/8/

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

なぜ荒天を追うのか

なぜあなたは荒天を追うのですか?取材を受ける時に必ず聞かれる質問です。学術的な理由はありません。相手は自然現象、待っていてもこちらに来てくれないから追うんです。野生動物を撮るためにジャングルに入る人、汽車を撮るために線路端に行く人、魚を撮るために海に潜る人、撮影対象が違うだけで皆同じなんですよ。普通に生活していれば、竜巻やダウンバーストなんて一生のうちに何度も遭遇するものじゃありません。ですが、積乱雲の下をウロウロしていれば遭遇する確率はグーンと上がるんです。自分が求める被写体に出会うため荒天を追っているのです。

探究心は常に持っていますが、使命感はありません。なにも世のため人のために撮影している訳ではなく、たまたま荒ぶる空に魅せられてしまっただけなんです。雲ひとつ無い青空に全く魅力は感じませんが、そこに入道雲が浮かんでいたらカッコイイじゃないですか!それが答えです。

入道雲

青空に浮かぶ入道雲は、大好きなシーンのひとつだ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

今年で7年目のシーズンに入りました。我ながら良く続いていると感心します。ストームチェイサーとして活動するために特別な資格は要りませんし、自ら宣言すれば誰でもなれるのです。必要な物は撮影機材と移動のための車、発信するための手段、ほんの少しの知識です。大事なことは継続すること、一度だけならまぐれ当たりでも撮影できます。年間を通して記録し続け、怪我なく無事にシーズンを終えることが大事です。地道に発信していれば、いつか夢はかないます。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

Yutaka Aoki
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