2013年6月12日、台風3号の影響で東寄りの湿った風が吹き、雨引山にモーニンググローリーのような層雲が現れました。雨引山(あまびきさん)は茨城県中西部の桜川市にあり、八溝山地の南端に位置する409.3mの山です。八溝山地南端の筑波連山は1000m以下の山が南北に連なっており、東寄り(太平洋から)の湿った風が入ると、山の東側に雲のダムができ、ダムが一杯になると山頂を越えて西側の斜面に流れてきます。いわば東から流れてくる低層雲をブロックする堤防のようなものです。そのため、山の東側では雨、西側では晴れ、そんなシーンが度々見られます。
山沿いで見られる横長の層雲は、山かつら、大蛇雲(おろちぐも)とも呼ばれています。どちらかと言えば降雨時に見られることが多いため、青空バックはレアだと思います。実際、撮影時も直前まで雨が降っており、急速に回復して青空が見えたと思ったら、数時間後には再び雨が降りだしました。ちなみに、モーニンググローリーはロール状の層積雲で、写真の層雲とは別物です。
雨引山を覆う、モーニンググローリーのような層雲。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
雨引山は読んで字のごとく、雨と深い関わりを持っています。821年(平安時代)に大干ばつに見舞われた日本、時の嵯峨天皇が山の中腹にある楽法寺(587年開山)で祈祷をしたところ、見事に成就されたそうで、山号を雨引山と定め勅額をくだし賜った、そんないわれがあります。
*関連リンク・・・「雨引観音 公式サイト」
http://www.amabiki.or.jp/(外部リンク)
雨引山の中腹にある楽法寺より、桜川市方面を望む。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
山の中腹に位置する楽法寺まで登ってみました。頭上を勢い良く層雲が流れていきます。層雲の雲底とほぼ同じ高さだったため、ギリギリで桜川市方面が見えました。これ以上登ってしまうと霧の中に入ってしまい、何も見えなくなってしまいます。現在、楽法寺では紫陽花祭が開催されていますが、まだ開花したばかりで、見頃は1週間くらい先になりそうです。期間中はライトアップされるそうで、夜の紫陽花も一興ですね。
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