2013年5月12日、茨城県桜川市から石岡市に抜ける上曽峠(うわそとうげ)で面白いシーンに遭遇しました。上曽峠は弁天山ときのこ山の間を通る、標高320mの峠道です。当日、八溝山地の西側では20℃を超えて汗ばむ陽気、一方東側では曇天で肌寒いくらいでした。当日15時の気温を比較してみると、山の西側に位置する筑西市では24.6℃、東側に位置する鉾田市では13.0℃、東西の気温差は11.6℃です。これは北東気流と地形が大きく影響しています。
当日、冷たい北東風が入り、山の東側で層雲(下層雲)が発生、低い雲は山を超えられずにその場に滞留してしまったんですね。冷たい風と太陽光を遮られた影響で、山の東側では気温が下がった訳です。茨城県内には南北に連なる八溝山地があり、その南端に位置するのが関東の名峰、筑波山(877m)です。北には弁天山、きのこ山、足尾山、丸山といった400~600mクラスの山が連なり、その先には加波山(709m)があります。何れも1,000m以下の山ですが、低層の雲をブロックするには十分な高さなんですね。一部は山を超えて西側にも流れこんできましたが、筑波山、加波山は超えられなかったようです。筑波山には風返峠(かぜかえしとうげ)と言う峠道がありますが、そんなところに由来しているのかもしれません。
一部、低い山を超えて西側にも流れ込んてきた層雲。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。