このところ、季節の変わり目らしく荒れた天気が続いています。連日のように注意を促す情報が発表されていますが、ピンポイントでの予測は難しいようです。昨年、気象庁が発表した竜巻注意情報の的中率は1%、この数字が全てを物語っていますね。竜巻に関して日本よりも進んでいるアメリカでさえ、的中率は20%程度と言われています。
予測することが難しい現状、どうすれば危険をいち早く察知できるのか、ごく基本的なことですが、空を見上げるクセをつける、人間の持つ感覚機能をフル活用する。急に暗くなる、冷たい風が吹く、風向きが変わる、雷鳴が聞こえる、大粒の雨や雹が降ってくる、これら、多くの人が知っているであろう基本的なことが最も確実な判断材料になります。
下の写真をご覧ください、発達した積乱雲が迫りくる様子です。ここまで迫ってくるとかなり危険な状態です。不要な外出は避け、丈夫な建物に避難することが一番です。画面左側に滝のように見える部分があります。これは降水雲、雨が降っているエリアです。降水雲がここまでハッキリ写るような状況下では、視界が遮られるほどの大雨が降っています。突風、雷、雹、このような現象は、全て積乱雲から発生します。
発達した積乱雲が迫る、茨城県筑西市で撮影。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.○○の境目で天気は荒れることが多くなります。冷たい空気と暖かい空気の境目、異なる風向き・風速の境目、上昇気流と下降気流の境目など。
暖かい空気と冷たい空気の境目には前線が発生します。下の写真をご覧ください、画面右手前から奥に向かって、弧を描くように雲の帯がのびています。この雲は大気の状態が不安定な時に、積雲・積乱雲の雲底に現れるアーチ雲です。暖かい空気と冷たい空気が衝突した際に局地的な前線が発生し、前線面に沿って現れます。アーチ雲通過時には台風並みの突風が吹き荒れ、落雷、降雹を伴うことも多くなります。
アーチ雲、茨城県筑西市で撮影。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.下の写真をご覧ください、雲底から尻尾のような雲が地上に向かって降りてくる様子です。上昇気流と下降気流の境目に発生する、ウォールクラウドとテイルクラウドです。高湿度な状況下、上昇気流と下降気流・降水域と無降水域の境界付近で温度差により発生します。テイルクラウドはウォールクラウドの延長であり、降水域に向かってのびていきます。この雲が持続し、断片雲が上下動を繰り返す場合、気流に渦が生じている可能性があります。
テイルクラウド、茨城県筑西市で撮影。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.*過去に茨城県内で大きな被害を出した突風。
1962年東村(稲敷市)の竜巻(F2)住家全半壊42、負傷者65名、死者2名。
1969年猿島町(坂東市)の竜巻(F2)住家全半壊54、負傷者107名、死者2名。
1979年旭村(鉾田市)の竜巻(F1~F2)住家全半壊9、負傷者4名。
1996年下館市(筑西市)のダウンバースト(F1~F2)住家全半壊70、負傷者19名、死者1名。
2003年神栖町(神栖市)のダウンバースト(F1~F2)住家全半壊不明、負傷者7名、死者2名。
*関連リンク
*ダウンバースト - Downburst
http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/9/*ガストフロント - Gust Front
http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/7/*漏斗雲 - Funnel Cloud
http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/6/*関東平野では竜巻が多い
http://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/TATSUMAKI(外部リンク)
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