2011年7月5日、オホーツク海にある低気圧から伸びる前線の影響で大気の状態が不安定でした。新潟県燕市では、午前9時20分頃にガストフロントによる突風が発生し、負傷者が出ています。新潟県三条市では、午前9時30分頃にダウンバーストによる突風が発生しています。
地元、茨城県西部では朝から晴れて気温が上がりました。午後から栃木県中南部で積乱雲が発達し、15時頃に掛けて茨城県西部にも雲が掛かってきました。雨雲通過時には下降気流が発生したようで、地面に叩きつけるような大粒の雨が落ちてきました。短時間で通過していきましたが、通過時は雷を伴い、一時的に風が強まりました。
2011年7月5日、積乱雲の雲底にWall Cloudが形成された。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.雨雲通過前の風向きは南、雨雲通過中は北西、雨雲通過後は北東に変わっています。筑西市のアメダス状況、14時/32.4℃/南2m/s、15時/24.8℃/北西6m/s、16時/27.9℃/北東3m/s。当日、筑西市では雷注意報、大雨注意報が出ていました。
積乱雲の雲底に付随するWall Cloud、そこから地上に向かってのびるTail Cloudが形成されました。Wall Cloudは上昇気流と下降気流の境界付近に形成され、地上に向かって降りてきます。上昇気流が下降気流の冷気に触れて形成されるため、Wall Cloudが長時間持続すような場合、下降気流が持続している証拠であり、降雹やダウンバーストを警戒する必要があります。
2011年7月5日、降水域に向かってのびている雲がTail Cloud。
© Yutaka Aoki. All rights reserved.*Wall Cloud(ウォールクラウド)、Tail Cloud(テイルクラウド)、発達した積乱雲の雲底に形成される。
Wall Coludは無降水域と降水域の境界でもあり、画面左側は無降水域、右側は降水域になります。Tail CloudはWall Cloudの延長で、降水域に向かってのびていきます。Tail Cloud周辺で断片雲が上下動を繰り返している場合、気流が乱れている可能性があります。竜巻やダウンバーストなど、突風に対する警戒が必要です。
2011年7月5日、Wall CloudとTail Croud、無降水域と降水域。
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