関東の梅雨も開け、本格的に暑い夏がやって来ました。夏といえば突然の雷雨や豪雨がつきもの、日中の昇温が雨雲を発達させます。そんな夏に活躍するのは気象レーダー、気象庁をはじめ、民間気象会社、電力会社などのHPで無料で閲覧することが出来るので、使わない手はありません。初めはとっつきにくいかもしれませんが、慣れてくると何時間後に雷が鳴るか、雨が降るか、わかるようになってきます。ただで使えるものは最大限に利用しましょう。
積雲が成長し、雄大雲(雄大積雲)へと発達した様子。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
雷雨が発生する要因としては、上空と地上の温度差、湿気、風の収束などが主な原因です。ストームチェイサーは雷雲が発生する前に現場に到着し、雲の発達を待ち構えます。発生してからでは間に合わないため、先手を打つ訳です。とは言え、当たる確率は3割~4割程度。ハズレの方が大きいのです。最新の科学である気象レーダーと、先人たちの知恵である観天望気を駆使し、日夜悪天候を追っていますが、追跡者をあざ笑うかのように裏をかかれてしまいます。
2014年4~6月までの追跡ダイジェスト。落雷、豪雨など。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
気象現象に関してはひと通り勉強をしてきました。写真家である以上、被写体の特性を知らなければ撮影にならないからです。ただ、入り口は本当に狭く苦労の連続でした。気象関係の本というと専門用語が多く、読み手を選ぶ本ばかり。気象の素人が手を出しても2~3ページ読んだだけで挫折してしまう。そんな中、救世主的な2冊の本に出会いました。
1冊目は気象予報士の金子大輔さんの著書「
こんなに凄かった!伝説の「あの日」の天気。過去の事例をわかり易く解説しています。写真やイラストも豊富で読みやすく、気象への入口が大きく広がったように思います。「そう言えば、こんなことあったなぁ~」的に読むことが出来る気象本です。ワタシが撮影したスーパーセルの写真も2枚掲載されています。
2冊目は気象庁気象研究所の研究者、荒木健太郎さんの著書「
雲の中では何が起こっているのか~雲をつかもうとしている話」。雲の中で起こっていることを、イラストや写真でわかり易く解説しています。入り口のハードルは低いのに、読み終わる頃には気象の知識が付いているという、気象本の概念をぶち壊した1冊です。
電車の中やちょっとした待ち時間などにもサラっと読める。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
どちらかと言えば、文献よりも現場で得た知識のほうがはるかに有効で、論より証拠、百聞は一見にしかずの精神で、撮影時に体感したことを吸収するのがチェイサーの気象学です。ただし、それでは不十分なんですね。不足している部分を補うためには専門家の知識が必要なんです。上記の2冊との出会いは、改めて気象を勉強し直す良いきっかけになりました。
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