壁雲(英:Wall Cloud)とは、発達した積乱雲の雲底に現れる低く垂れこめた雲のことです。回転する上昇気流域(英:Mesocyclone)が可視化した姿であり、スーパーセルに良く見られます。上昇気流域(無降水域)と下降気流域(降水域)の境目に形成され、北半球では反時計回りの回転を伴います。多くの場合、壁雲は数分で消滅してしまいますが、強い上昇気流で暖かく湿った空気が多く流入すると、10分以上持続することがあります。レーダーには降水強度の強い部分がアルファベットのC字型に映り、鉤状エコー(フックエコー)と呼ばれます。フックエコーが観測されると、気象庁より竜巻注意情報が発表されます。2012年5月6日に北関東で複数の竜巻が発生しましたが、その時もレーダーにフックエコーが映っています。気象庁HPに、当日のレーダー画像が掲載されていますので、参考にリンクを張っておきます。
*鉤状エコー
http://www.jma.go.jp/jma/menu/tatsumaki-portal/radar.html(外部リンク)
壁雲から漏斗雲がのび、竜巻へと成長することがある。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
高温多湿の条件下では、壁雲から下降気流域(降水域)に向かって尻尾のような雲がのびることがあり、これをテールクラウド(英:Tail Cloud)と呼びます。テールクラウドは壁雲の延長であり、基本的なメカニズムは壁雲と同じであると言われています。テールクラウドの定義は、壁雲と接続していることです。こちらも壁雲同様に数分で消滅することが多く、長時間見えている時は危険信号であると認識していいでしょう。
壁雲から下降気流域に向かってのびるテールクラウド。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
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