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The Storm Chaser

  

梅雨入りと麦秋

2013年5月29日、平年より10日も早く関東甲信地方で梅雨入りの発表がありました。毎年、梅雨入りの時期になると再燃するのが発表のタイミングです。「季節の変わり目を線引するのは無理がある」と言うのは情報を発信する側の都合、情報を欲している側には関係ないことです。多くの人は梅雨入りを一つの目安にし、気象災害、体調管理などへの関心を高めます。日常生活に直結する重要な情報なんですよね。

乱層雲

梅雨時に良く見られる乱層雲、スタンダードな雨雲だ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

麦秋

地元では、麦が色付く時期になると梅雨を意識し始める。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

地元、茨城県筑西市では麦が黄金色に色付いています。麦の収穫期は麦秋と呼ばれ、梅雨入り前後の風物詩にもなっています。地元で生産されているのは主に3種類、小麦、二条大麦、六条大麦です。麦の収穫が終わると、二毛作で常陸秋そばの生産が始まります。

6月から9月はストームチェイスの最盛期です。この時期に狙うのは梅雨の晴れ間、昇温に伴う熱雷です。湿度の高い時期ですので、日中気温が上がると綿あめのような積雲が列をなして流れてきます。そして午後になると積乱雲へと成長し、雷雨になります。高湿度の状況下で現れるテイルクラウドは6月~7月に見られることが多く、一般的に嫌われる長雨の季節も、ストームチェイサー目線では楽しみな季節でもあります。今年はどんなシーンに遭遇できるでしょうか。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

記録的短時間大雨情報

記録的短時間大雨情報(*以下気象庁HPより引用)、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観測)したり、解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析)したときに、府県気象情報の一種として発表します。その基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に、概ね府県予報区ごとに決めています。

発表された例として、2011年8月11日、この日は午前中より気温がグングン上昇、茨城県内では南部の土浦市で37.4℃、西端の古河市で37.3度を観測、著しい昇温により午後になって大気の状態が不安定になりました。栃木県、群馬県で発生した複数の積乱雲が発達しながら茨城県を通過し、県南部を中心に激しい雷雨になっています。水戸地方気象台は、茨城県内に記録的短時間大雨情報・竜巻注意情報・土砂災害警戒情報を発表、JR常磐線は規定値を越える雨量のため一部運休に、石岡市では落雷による火災が発生しています。県内で最も雨量が多かったのは石岡市柿岡で、115m/hの猛烈な雨を観測しています。

当日、私は茨城県南西部の筑西市から下妻市周辺で積乱雲の通過を取材しており、積乱雲の雲底に渦巻くウォールクラウド(壁雲)とガストフロントの発生を確認しています。その後も積乱雲は発達を続け、南東方向に進んで行きました。記録的短時間大雨情報は、数年に1回程度の記録的大雨が観測された時に、より一層の警戒を呼びかけるために発表される情報です。都道府県により基準となる時間雨量(60m/h~120m/h)が定められており、茨城県の基準は100m/hです。

積乱雲

アーチ雲

激しい下降気流により、ガストフロントが発生した。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

これから梅雨に入り、雨の多い季節になります。自然災害に備えるためには、まず正確な情報を得ることです。そのためには情報の意味をきちんと理解しないといけません。その上で五感を研ぎ澄まし、小さな変化も見逃さないようにすることが大事です。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

竜巻注意情報の的中率

気象庁では2008年3月より竜巻注意情報が、2010年5月より竜巻発生確度ナウキャストが提供されています。竜巻注意情報の的中率を見ると、2010年の的中率は5%、2011年の的中率は1%、2012年の的中率は3%、有効期間外に発生したものも含めてこの数字です。あまりの的中率の低さに驚かれる方も多いと思います。2012年5月6日に北関東で竜巻が発生して以降、防災無線を通して情報が伝達されるようになりましたが、実際は竜巻注意情報が発表されても、気にせず屋外で活動される方が多いのです。2013年4月26日に栃木県に竜巻注意情報が発表されましたが、私が目にした光景は、農作業に励む方々、自転車で帰宅する学生の姿、犬を連れて散歩中の人、緊張感は全く感じられませんでした。多くの人が感じているのは「どうせ当たらないから」でしょう。本来の目的は注意喚起のはずですが、あまりの的中率の低さにオオカミ少年なってしまったんですね。

*竜巻注意情報とは・・・竜巻などの激しい突風に関する気象情報、警報・注意報ではない。

メソサイクロン

2012年に発表された竜巻注意情報は597回、うち的中は17回、的中率3%。↑写真は2012年7月17日、茨城県西部で撮影、約25km先の栃木県栃木市でダウンバースト発生(F0)。竜巻注意情報あり、有効期間内、竜巻ナウキャスト確度2。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

ガストフロント

2011年に発表された竜巻注意情報は589回、うち的中は8回、的中率1%。↑写真は2011年7月5日、茨城県筑西市で発生したガストフロント(降雹・落雷あり)。竜巻注意情報なし、竜巻ナウキャスト確度不明。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

ダウンバースト

2010年に発表された竜巻注意情報は490回、うち的中は23回、的中率5%。↑写真は2010年7月24日、栃木県真岡市でダウンバースト(F0)により発生した風塵。竜巻注意情報あり、有効期間外、竜巻ナウキャスト確度2。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

竜巻注意情報の有無にかかわらず、雷鳴が聞こえたら突風の恐れがあると考えていた方がいいでしょう。夕立クラスの雷雨でもダウンバーストやガストフロントは度々発生しています。被害報告・目撃情報のないものは発生数としてカウントされていないだけです。例として、2010年7月26日に霞ヶ浦の湖上で巨大な竜巻が発生、住民撮影の映像があるため発生数にカウントされていますが、被害報告がないためFスケールは適用されていません。Fスケールは実測値ではなく被害の大きさを表す等級なので、物的被害がなければ計りようがないのです。

*気象庁 平成24年(2012年)竜巻注意情報の発表状況 http://goo.gl/QNvtO
*気象庁 平成23年(2011年)竜巻注意情報の発表状況 http://goo.gl/5ZW63
*気象庁 平成22年(2010年)竜巻注意情報の発表状況 http://goo.gl/sGUwH

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

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