2012年8月6日午前11時30分頃、新潟県新潟市および五泉市でガストフロントによる突風被害が発生しました。強度はF1、被害幅19Km、被害長34Km、樹木やコンクリート製の電柱が倒れる被害が出ています。ガストフロントによる突風被害では国内最大級ではないかと思います。
2012年8月6日 新潟県新潟市・五泉市 負傷者5名 住宅半壊1戸
F1(ガストフロント)
上の写真は2011年8月に茨城県南西部で発生したガストフロント。新潟の突風被害とは無関係。
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ガストフロントは突風前線・陣風前線とも呼ばれ、成熟・衰退期の積乱雲から生じる吹き下ろしの冷たい風(冷気外出流・下降気流)と周辺の暖かな空気が衝突することで発生する局地的な寒冷前線です。前線最前面には、手が届きそうな低い位置にアーチ状の(緩やかな弧を描くような)雲が現れます。発生は局地的で、冷たい風の供給元である積乱雲の衰退とともに消滅します。通過時には台風並みの突風を伴うことがありますが、国内で発生するガストフロントのほとんどはF0以下で、大きな被害を出すことは稀です。
前線面に発生するアーチ雲(Arcus)、対流活動が活発な時に発生しやすい。
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2011年8月11日、茨城県南部で雨雲が発達し石岡市柿岡で115mm/hの猛烈な雨を観測、茨城県南西部ではガストフロントが発生し、激しい雷雨になっています。低い位置に垂れ込めるアーチ雲は、まるでアーケードの屋根のように見えます。
強い下降気流が持続することでガストフロントが発生する。
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こちらはアーチ雲を下から捉えた画像です。アーチ雲通過時には一時的に雨が強まったり、落雷や突風が吹く恐れがあります。観測には細心の注意が必要です(危険なのでお勧めしません・・)。上の写真は、安全な場所に駐車し車内より撮影しています。
2010年6月28日、茨城県筑西市で発生したガストフロント。
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青い矢印は下降気流による冷たい風(重い)、赤い矢印は上昇気流による暖かな風(軽い)、気流の衝突したところに局地的な寒冷前線が発生します。ガストフロントによる上昇気流に渦が生じると、ガストネード(Gustnado)が発生することがあります。積乱雲の下で生じますが、発生のメカニズムは竜巻よりも塵旋風に近く、見た目も塵旋風に似ています。強度的には塵旋風以上竜巻未満といったところでしょうか。
*ガストフロントの微速度映像
http://youtu.be/khnU4iSGX-A (2010年6月28日撮影)
*関連記事 「ガストフロント - Gust Front」
http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/7/
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