世界一の竜巻多発国、北アメリカ。全世界で発生する竜巻の8割は北アメリカで発生しています。その中でもロッキー山脈の西側、アメリカ中西部に位置するプレーリーと呼ばれる温帯草原地帯はトルネードアレイ(竜巻街道)とも呼ばれ、竜巻発生のシーズン(4月~6月頃)になると全米各地からストームチェイサーが集まります。元々はオクラホマ大学の竜巻研究チームの名称だったストームチェイサーですが、現在では裾野が広がり、映画やテレビ、観光業にまで進出しており、アメリカンカルチャーとして定着しています。
追いかける対象が気象現象ですから、科学的な裏付けは重要です。ですが、私のような映像屋の場合、文化的にアプローチすることも魅力に感じます。トルネードアレイは世界一の竜巻多発地域であると同時に、世界でも屈指の穀倉地帯です。麦、トウモロコシ、大豆などの生産が盛んですし、白米の代わりに牛肉を食べる民族ですから、肉牛の放牧も盛んです。麦の成長には大量の水が必要なため、土壌が良く積乱雲が発達しやすいこの地域が生産に適しているのでしょう。日本でも、雷が落ちた田んぼは豊作ということわざがあるくらい、農業と気象には深い関わりがあります。
農業や牧畜が盛んな地域ですから、当然それらの仕事に就く人が多く、走っている車はピックアップトラック、働く男性のスタイルはTシャツにジーンズ、足元はワークブーツと、日本で言うところのアメカジが主流です。働く男を支えるワークウェアですが、日本でもお馴染みのワークウェアブランドの多くはトルネードアレイで生れています。ワークパンツでお馴染みのDickiesはテキサス、ジーンズでお馴染みのLeeはカンザス、オーバーオールでお馴染みのROUND HOUSEはオクラホマ、これらのブランドは、アメリカ中西部、トルネードアレイが発祥の地です。
映像屋として、単に記録するだけなら科学的なアプローチでいいと思いますが、作品性も加えたいと思うなら、その土地の特色を知り、文化的なアプローチをすることも必要になると思います。そんな訳で、トルネードアレイの文化のひとつ、ワークウェアについて綴ってみました。
・5月20日発売の
日本カメラ6月号にカンザスのスーパーセルが掲載されています(78~79P)。
・茨城県つくば市の
趙家キムチ・白飯屋さんで、写真(9枚)を展示していただきました。
・ケーブルテレビ(CC9)の番組、
う・ら・らに出演します。6月8日から1週間放送されます。
*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。