2014年6月29日、低気圧が東に抜けた後、西から進んできた寒気を伴う気圧の谷の影響により、関東地方で積乱雲が発達しました。首都圏方面では激しい落雷にみまわれ、群馬県を除く1都5県で竜巻注意情報が発表されました。北関東では14時頃から対流系の雲がモクモクとわいてきて、15時頃には巨大な積乱雲が出現しました。強い上昇気流により周囲の積雲が引き寄せられ、親雲に吸収されていく様子は迫力満点でした。フランキングライン(英:Flanking line)と呼ばれ、対流系の雲が線状に連なり吸収されていく現象です。
16時過ぎには雲底にアーチ雲が現れました。アーチ雲は気流の収束により現れる小さな前線(ガストフロント)が可視化した姿です。日本ではアーチ雲や棚雲、英語圏ではShelf Cloud(シェルフクラウド)と呼ばれます。積乱雲に先駆けて強風とともに通過し、通過後は間髪入れずに土砂降りになります。アーチ雲は天気が荒れる前兆、危険な雲のひとつです。
この日は栃木県真岡市よりスタート。雲の動きに合わせて、茨城県筑西市、下妻市、つくば市と、南東方向に進路をとって追跡しました。落雷が多発した首都圏に比べ、北関東は雨が中心で「思ったよりも荒れなかった」というのが正直な感想です。
6月の北関東、上空の寒気と南からの暖かく湿った空気の影響により、雷雨の発生が非常に多くなりました。関東の梅雨はしとしと雨が降るイメージですが、今年は青空から急転、黒雲が広がり豪雨をもたらすことが多くなっています。近年稀に見る雷雨の当たり年と言えるかもしれません。
画像一番上がフランキングライン、吸収される積雲の列。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
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