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The Storm Chaser

  

2012年5月28日の乳房雲

2012年5月28日、気温の上昇と日本海にある寒気を伴う低気圧が東に進んだ影響で、本州の広い範囲で不安定な空模様になりました。茨城県西部では昼前後より南寄りの風が強まり、13時半頃から怪しい空模様になりました。積乱雲本体が近づいてくると、雲底に乳房雲が見られました。積雲・積乱雲の雲底に乳房雲が現れるのは、天気が荒れる前兆でもあります。乳房雲の形がハッキリしているほど乱流が強く、突風や雹の恐れも強くなります。

乳房雲

2012年5月28日 ハッキリとした形の乳房雲が出現。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

筑西市周辺の雷雨はそれほど激しくありませんでしたが、降り出しは強い南風の影響もあって、雨が真横から吹き付けるような状態でした。雨雲通過前後には北寄りの風に変わり、25℃台から一気に16℃台まで気温が下がっています。通過後には再び南寄りの風に変わり、気温も18℃台まで上昇しました。

雷雲

2012年5月28日 降水域(左下)と無降水域(右下)の境目。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

一時、関東全域に竜巻注意情報が発表されましたが、突風による被害は無かったようです。今夜には再び寒気が北上し、明日29日も不安定な空模様になりそうです。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

2012年5月18日の寒気通過

2012年5月17日~18日にかけて、強い寒気の影響で全国的に不安定な空模様になりました。上空と地上の温度差が大きいほど、対流活動が活発化して積乱雲が発達しやすくなります。17日深夜には北関東3県で竜巻注意情報が発表され、日付が変わる頃に激しい雷雨となりました。18日も不安定な状態は続き、昼前から夕方にかけて積乱雲が発達しました。突然雷がなったと思うと太陽が顔を出し、晴れたと思うとまた雨が振るような空模様、めまぐるしく変わる天気に振り回された1日でした。

降水雲

降水雲

2012年5月18日 筑波山の麓より降水雲を撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

夕方以降は回復傾向で、時折夕陽が差し込み面白い雲の表情を見ることが出来ました。寒気の通過時には、短時間で大きく雲の形が変わります。危険のない状況であれば、刻々と変わる雲の動きや形を楽しむことが出来ます。

余談ですが、撮影中にゴゴゴっという地鳴りとともに、直下型の地震が発生しました。農道に駐車していた車が揺れ、水路の水も大きく揺れていたのでビックリしました。地震の規模はM4.8、撮影地の震度は4でした。

嵐の後

嵐の後

2012年5月18日 刻々と表情を変える雲を撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

撮影中にいつも思うことですが、自然のパワーに立ち向かうと心身ともに消耗します。そんな時に、夕景や虹などを見ると心が癒され、力が漲ってきます。プラスに働く力、マイナスに働く力、すべて合わせて自然のパワーなのでしょうね。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

境目が危ない

このところ、季節の変わり目らしく荒れた天気が続いています。連日のように注意を促す情報が発表されていますが、ピンポイントでの予測は難しいようです。昨年、気象庁が発表した竜巻注意情報の的中率は1%、この数字が全てを物語っていますね。竜巻に関して日本よりも進んでいるアメリカでさえ、的中率は20%程度と言われています。

予測することが難しい現状、どうすれば危険をいち早く察知できるのか、ごく基本的なことですが、空を見上げるクセをつける、人間の持つ感覚機能をフル活用する。急に暗くなる、冷たい風が吹く、風向きが変わる、雷鳴が聞こえる、大粒の雨や雹が降ってくる、これら、多くの人が知っているであろう基本的なことが最も確実な判断材料になります。

下の写真をご覧ください、発達した積乱雲が迫りくる様子です。ここまで迫ってくるとかなり危険な状態です。不要な外出は避け、丈夫な建物に避難することが一番です。画面左側に滝のように見える部分があります。これは降水雲、雨が降っているエリアです。降水雲がここまでハッキリ写るような状況下では、視界が遮られるほどの大雨が降っています。突風、雷、雹、このような現象は、全て積乱雲から発生します。

積乱雲

発達した積乱雲が迫る、茨城県筑西市で撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

○○の境目で天気は荒れることが多くなります。冷たい空気と暖かい空気の境目、異なる風向き・風速の境目、上昇気流と下降気流の境目など。

暖かい空気と冷たい空気の境目には前線が発生します。下の写真をご覧ください、画面右手前から奥に向かって、弧を描くように雲の帯がのびています。この雲は大気の状態が不安定な時に、積雲・積乱雲の雲底に現れるアーチ雲です。暖かい空気と冷たい空気が衝突した際に局地的な前線が発生し、前線面に沿って現れます。アーチ雲通過時には台風並みの突風が吹き荒れ、落雷、降雹を伴うことも多くなります。

アーチクラウド

アーチ雲、茨城県筑西市で撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

下の写真をご覧ください、雲底から尻尾のような雲が地上に向かって降りてくる様子です。上昇気流と下降気流の境目に発生する、ウォールクラウドとテイルクラウドです。高湿度な状況下、上昇気流と下降気流・降水域と無降水域の境界付近で温度差により発生します。テイルクラウドはウォールクラウドの延長であり、降水域に向かってのびていきます。この雲が持続し、断片雲が上下動を繰り返す場合、気流に渦が生じている可能性があります。

テイルクラウド

テイルクラウド、茨城県筑西市で撮影。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*過去に茨城県内で大きな被害を出した突風。
1962年東村(稲敷市)の竜巻(F2)住家全半壊42、負傷者65名、死者2名。
1969年猿島町(坂東市)の竜巻(F2)住家全半壊54、負傷者107名、死者2名。
1979年旭村(鉾田市)の竜巻(F1~F2)住家全半壊9、負傷者4名。
1996年下館市(筑西市)のダウンバースト(F1~F2)住家全半壊70、負傷者19名、死者1名。
2003年神栖町(神栖市)のダウンバースト(F1~F2)住家全半壊不明、負傷者7名、死者2名。

*関連リンク
*ダウンバースト - Downburst http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/9/
*ガストフロント - Gust Front http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/7/
*漏斗雲 - Funnel Cloud http://tornado.blog.shinobi.jp/Entry/6/

*関東平野では竜巻が多い http://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/TATSUMAKI(外部リンク)

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

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