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The Storm Chaser

  

September 7,2008

アーカイブより、2008年9月7日に撮影したガストフロントの発生から終息までを写した連続写真を掲載します。1枚目の写真を撮影したのが14:55分、最後の写真を撮影したのが15:24分、僅か30分程度の出来事です。ガストフロントの通過は早く、激しい雷雨と突風を伴いながら、あっと言う間に頭上に達しますが、冷気の供給源である積乱雲が衰退すると同時に消滅します。ごく稀に突風性の旋風・ガストネードが発生することがあります。竜巻に比べて威力は弱く、F0~F1程度です。発生のメカニズムが竜巻とは違い、塵旋風(つむじ風)に近い性質を持っています。

漏斗雲

ガストフロント

ガストフロント

ガストフロント

ガストフロント

ガストフロント

ガストフロント

ガストフロント

ガストフロント

落雷

気流の衝突により発生する局地的な前線、ガストフロント。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

ストームチェイサー目線で見ると、局地現象の中でもガストフロントが最も画になります。雲の壁が迫ってくる様子は神々しいまでの迫力があり、怖さよりも自然の力に感激します。ちなみに、当時使っていた機材は、EOS Kiss DIGITAL XとSIGMA 17-70mm F2.8-4 DC Macroでした。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

ストームチェイサーの雑学

知っていても日常生活ではあまり約に立たない、ストームチェイサーの雑学を書きたいと思います。シーズンオフの息抜きと思って気楽に読んでいただければ幸いです。



*夏は太平洋側、冬は日本海側で雷が多い訳

季節風が影響しています。夏は南東方向の風が吹き、太平洋側の内陸で雷が多発します。冬は北西方向から風が吹き、日本海側の沿岸部で雷が多くなります。

*雷が光ってから音が鳴るまでの時間差で大凡の距離を知る

気温15℃の場合、音の速さは340m/sです。例えば稲妻が光ってから5秒後に雷鳴が聞こえたら、5秒×340m=1,700mになります。つまり、約1.7km先に落雷があったと言うことです。音の速さは温度の変化1℃毎に0.6m/s増減します。気温18℃の場合は0.6×3=1.8、約342m/sになります。打ち上げ花火にも同じことが当てはまるため、知っていれば撮影時のレンズ選択に役立ちます。

*CMOS電子シャッターでローリングシャッター現象が発生

CMOS電子シャッターで雷を撮影すると、画像の一部が欠けたり、明暗差が出たりすることがあります。センサーの配列によるもので、CMOSの場合、ライン露光順次読み出しのため、雷のような瞬間的に強い光を発するものを撮影すると、露光タイミングのズレが生じてしまうことがあり、画像の明暗差となって現れます。それがローリングシャッター現象です。スマートフォンや高速連写を売りにしているコンパクトデジカメなど、CMOS電子シャッター採用のデジカメで顕著に現れます。明暗差以外にも、動くものを撮影すると歪みが出ることもあります。

ローリングシャッター現象

ローリングシャッター現象により露光のズレが出た例。© Yutaka Aoki. All rights reserved.



*Fスケール(藤田スケール)は実測値ではなく推定風速

竜巻の強度を表すFスケール、F0~F5まで等級ごとに風速が設定されていますが、これらは実測値ではなく、被害状況から判断した推定風速です。あくまで推定なので、実測値はわかりません。F2と推定されている竜巻が実際にはF3なのかもしれませんし、その逆もある訳です。また、1999年米オクラホマで、非公式ながらF6(最大風速142m/s以上)の竜巻が観測されています。

*風速を時速に換算する

風速を時速に換算するには、風速×3.6=時速になります。風速15m/sを時速に換算すると、15×3.6=54、時速54kmになります。時速54kmで走行中の車の屋根に立っている状態と同等ですので、風速15m/sはバランスを崩して転倒するくらいの強風と言えます。

寒冷前線

春の嵐、寒冷前線の通過により突風が吹き荒れる様子。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

Storm Chasers Note 2

竜巻を追ってアメリカ中西部の平原地帯を機材満載のRV車で疾走する、ストームチェイサーにそんなイメージを持つ方々も多いと思う。しかし、日本の道路事情を考えるとそれは不可能だと言わざるを得ない。制限速度の問題、市街地の渋滞、駐車の問題、ガソリンの価格、難題が山積みなのである。ある時期から広範囲に荒天を追うことを止め、活動範囲を限定して待ちの戦法に変えた。レーダーを見ながら発達しそうな雨雲があれば、進行方向に先回りして獲物が来るのをひたすら待つのである。長い時には2時間以上待つこともある。狭い日本では、無駄に移動するよりも的を絞って待った方が確実だと言える。

かなとこ雲

見ている間に発達し、巨大化した積乱雲(かなとこ雲)。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

獲物を待っている間も状況は刻々と変わる。雲の動き、気温、風向きなど、小さな変化も逃さないように、集中を持続しておかなければならない。発達した積乱雲が迫る場合、親雲に先駆けてガストフロントが通過することも多い。短時間に強風が吹き荒れ、横殴りの雨が降る。あっと言う間に通過してしまうが、そこで安心してはいけない。本番はこれからだ。雲の中心に入らないように、少しずつ移動を繰り返しながら撮影を続ける。安全を第一に考えながら、雲の側面に回り込むことが多い。雲の勢力が衰えてくると、断片雲(ちぎれ雲)が目立つようになる。徐々に雲の形が崩れ、日差しが戻ってくる。撮影終了の合図である。緊張感から解き放たれ、平常心に戻る瞬間だ。

撮影中

ガストフロントの通過を車中から眺める。自然の力に脱帽。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

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