(注)雷撮影には危険が伴います。安全面に十分注意し、自己責任で撮影を行なってください。この記事を元にした行為により生じた損害など、執筆者は一切の責任を負わないものとします。撮影場所は昼間のうちに足場を確認、緊急時に逃げ込める場所があるか否かなど、必ず事前に確認をしておきましょう。また、自宅以外で撮影する場合、安全面からも自動車が必要です。
ISO200、F6/1/5秒、35mm換算92mm
シーズンイン間近ということで、雷の撮影方法をまとめておきます。まず、雷の撮影時間帯を3つに分けます。早朝や夕方など薄明の時間帯、日差しがある時間帯、夜間の暗い時間帯です。3つの時間帯、全て設定が変わります。
■機材と基本設定、マニュアル露出とマニュアルフォーカスが使える機種であれば、一眼レフ、ミラーレス一眼、コンパクトカメラなど、好みで構いません。昼夜を問わず三脚とリモートコードを使用して撮影します。WBはオートでOK、RAWで記録することが好ましいですが、JPGでも構いません。レンズは24mm~100mm程度をカバーするズームレンズがあれば十分です。防塵防滴でない場合は雨よけにシャワーキャップがあると便利です。他に、強風による転倒防止にストーンバッグとウェイト、レンズクロス、手元を照らすライト、レーダー確認用のスマホ、雨具(傘は風にあおられるためNG)があればOKです。
■薄明の時間帯、比較的撮りやすい時間帯です。ISO感度は最低感度~800程度、シャッター速度を1/30秒~1/4秒程度に設定して撮影します。周りが薄暗い分、稲妻の確認が容易なうえ、空色などの雰囲気もよく、私が最も好きな時間帯です。稲妻を目視でとらえてからシャッターを切っても十分間に合うので、何度も撮影してタイミングを覚えて下さい。少なからず明るさが残っているため周りの状況も判断しやすく、安全面から考えてもこの時間帯がおすすめです。
ISO200、F6.3/1/8秒、35mm換算88mm
ISO200、F5.6/1/5秒、35mm換算16mm
ISO320、F5.6/1/25秒、35mm換算36mm
■日差しがある時間帯、最も難易度が高い時間帯です。周りの明るさに稲妻が溶け込みやすく、露出オーバーしやすい時間帯です。ISO感度は最低感度~400程度、1/30秒~1/250秒程度のシャッター速度に設定し、瞬間的な光をとらえます。稲妻をあまり大きく写さず、点景としてとらえると撮りやすいと思います。太陽が見え隠れすることで明るさが大きく変化するため、時にNDフィルターが必要になることもあります。この時間帯を克服するには、目を慣らすことも必要です。
ISO400、F5/1/50秒、35mm換算28mm
ISO160、F5.6/1/200秒、35mm換算36mm
ISO200、F8/1/100秒、35mm換算84mm
■夜の暗い時間帯、最も簡単に撮影できる時間帯です。基本は花火と同じで、ISO感度を最低(拡張はしない)に設定し、バルブ撮影でとらえます。絞りは開放からF8程度、60秒を超えたらシャッターを切り直します。沢山の稲妻を写し込みたい場合は、絞りをF16~F22程度まで絞り込むと露出オーバーを防げます。スターマインの撮影と同じ感覚です。ノイズリダクションは好みで構いませんが、ONにすると撮影間隔が長くなあるため、取り逃しも多くなります。
ISO200、F8/32秒、35mm換算36mm
ISO200、F8/44秒、35mm換算36mm
ISO200、F8/27秒、35mm換算28mm
■失敗例1、最近のカメラには4K動画からの切り出しや、プリキャプチャ機能などが搭載されていますが、CMOS+電子シャッターの組み合わせは雷撮影に不向きです。雷をビデオ撮影した時にチラチラと入る横線、あれが画面上に写り込んでしまいます。稲妻の速度は非常に速いため、センサーの特性上、信号をデータ化する速度に間に合わず横線や明暗差が生じてしまいます。
ISO500、F7.1/1/30秒、35mm換算16mm
■失敗例2、高感度のバルブ撮影では露出オーバーしてしまい、稲妻の周辺が明るくなりすぎてディティールが消失しています。これでは写真としてNGです。バルブ撮影をする時は最低感度で撮影しましょう(機能拡張で低感度を使用するとダイナミックレンジが狭くなります)。
ISO800、F16/51秒、35mm換算24mm
■危ないと思う前に逃げる、1回の撮影で欲張らないことも大事です。あと1枚と思う気持ちが危険を招くため、常に周りに気を配り、危ないと思ったら迷わず撤退しましょう。
■ここは危ない、歩道橋や橋の上は雷撮影に不向きです。逃げ場がないだけでなく、自動車が通るたびに揺れるので、ブレの原因にもなります。また、周りに高い樹木のある場所、海岸、河原、運動場など遮蔽物が全く無い場所も危険です。
■スポーツと同じ、とにかく数こなすこと。反復練習でタイミングを覚える、理論よりも体で覚える、それが一番の近道です。花火の撮影は雷撮影の練習にもなります。
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