2013年12月20日、発達中の低気圧と強い寒気の影響で、全国的に荒れ模様の天気になりました。関東地方では、寒気が流れ込んできた午後を中心に大気の状態が不安定になり、東京都心では雹を観測しています。当日、北関東では午前中を中心に雨風が強まりました。終日大気の状態が不安定で、様々な雲の表情を見ることが出来ました。その中でも、3種類の似て非なる雲を1日で見られたのは幸運でした。下に掲載する写真は、全て横1直線にのびる雲です。どれも同じように見えますが、それぞれ発生条件が異なります。
■ 写真上は横1直線にのびる層雲「大蛇雲(おろちぐも)」です。地形と風向きにより現れる雲で、風下にある山地が堤防となり、雲のダムを形成した状態です。晴れた日にも現れ、雲の輪郭がハッキリしないことが特徴です。霧や小雨をもたらす程度で、荒れる雲ではありません。
■ 写真中はロール状にのびる層積雲「ロール雲(ロール状層積雲)」です。逆転層、地上よりも上空の気温が高い時に現れる雲です。暖かい空気が蓋となり、上昇できなくなった雲が真横にのびていきます。特徴として、層雲よりも輪郭がハッキリしており、雲自体が鉛直方向に回転(縦回転)しています。通過時には強風が吹くこともあります。
■ 写真下は積乱雲や積雲に付随する雲列「アーチ雲(アーククラウド)」です。気流の収束により発生する局地前線(ガストフロント)が、積雲や層積雲の列となって可視化した姿です。対流雲の雲底に付随していること、通過時に気圧が急上昇することが特徴です。通過時には突風、雹、雷を伴うこともある非常に危険な雲です。観測時には細心の注意を!
3種類の似て非なる雲、それぞれ発生条件が異なる。© Yutaka Aoki. All rights reserved.
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