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The Storm Chaser

  
カテゴリー「追跡レポート」の記事一覧

2013年4月7日のラインエコー

2013年4月7日、春の嵐が通り過ぎた後、北関東では西から入ってきた上空の寒気により、昼前から不安定な空模様になりました。昼過ぎには栃木県から群馬県南部、埼玉県北部にかけて、活発な雨雲が線状に映るラインエコーが見られ、背の低い積乱雲の列が北西から南東へ動いているのを目視で確認、13時2分には茨城県に竜巻注意情報が発表されました。茨城県筑西市では12時の気温が23.1℃でしたが、16時には11.9℃と10℃以上も下がっています。その時間帯、風向きも南寄りから北寄りに変わっています。

アーチ雲

漏斗雲

積乱雲

積乱雲

アーチ雲

ラインエコーは高確率で荒天をもたらす。危険信号だ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

ラインエコーの特徴として、降雨域が非常に狭いことがあげられます。車で移動中、急に激しい雨が降ってきたかと思うと、数100m先では道路が乾いていることも珍しくありません。今回はその特徴を生かし、降雨域を避けるように移動しながら撮影を繰り返しました。強風の影響により機材が三脚ごと転倒すること2回、幸い土の上に転がったためカメラは無事でした。これがアスファルトの上だったらと思うと冷や汗が出ます。撮影中、円錐状に垂れ下がる漏斗雲を目撃しましたが(写真2枚目)、幸い竜巻が発生することはありませんでした。



風速20m/sを超えたら三脚におもりを付けないと厳しい。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

春の天気が荒れやすいのは、北には冬の冷たい空気、南には春の暖かな空気があり、互いに一歩も引かず熾烈な縄張り争いが生じているからです。縄張りの境界線を挟んで「どけ!コラぁ~!」、「どくか!ボケぇ~!」と大騒ぎになり、騒ぎを止めようと鎮圧隊が放水を始めると、敵味方入り乱れて大乱闘に発展してしまうという訳です(あくまで例えです)。

*関連リンク・・・Facebookアルバム 筑波山と春嵐 http://goo.gl/C7zdf

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

2013年4月3日の乳房雲

2013年4月2日夜から3日午後に掛けて、発達中の低気圧と上空の寒気の影響で東日本の太平洋側では大荒れの天気になりました。地元、茨城県筑西市では3日午前中より北寄りの強い風が吹き、12時5分に最大瞬間風速20.9m/sを観測、千葉県銚子市では12時48分に最大瞬間風速40m/sを観測しています。茨城県のひたちなか臨海鉄道では、倒木により運転士が怪我をする被害も出ています。

乳房雲

乳房雲

乳房雲

乳房雲

乳房雲

寒冷渦の通過時に現れた乳房雲。不気味な空模様になった。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

地元、茨城県筑西市の風雨のピークは3日10時から13時頃、寒冷渦が通過したと思われる14時から15時頃には、北東の空に不気味な乳房雲が現れました。最初のうちはぼんやりと見える程度でしたが、徐々に輪郭がハッキリしてきて、コブ状の雲が幾重にも連なるように見えていました。ワタシの経験上、低い位置に乳房雲がびっしりと現れた場合、高い確率で雹や霰に遭遇しています。

桜

春の嵐により、枝が大きく揺れる満開のソメイヨシノ。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

内陸に位置する地元では沿岸部ほど強い風は吹きませんでした。特に被害はありませんでしたが、2日前に満開を迎えたソメイヨシノが、風雨により無残に散っていく様子は少々悲しいものがありました。嵐を耐えぬいたソメイヨシノは、あと数日楽しめると思います。

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

炎の上昇気流

2013年3月17日、渡良瀬遊水地の葦焼きに行って来ました。3月の恒例行事で、葦の発芽促進や害虫・外来植物の駆除、樹林化防止が目的です。種の保存には欠かせないことですが、東日本大震災による福島第一原発事故の影響もあり、放射性物質が飛散する恐れがあるとして、2010年以降は中止されていました。3年振りの開催と言うことで、見物に訪れた人は2010年の3倍となる14,000人。報道関係の人も沢山来ていました。これだけの人が集まっても広大な敷地があるため、のんびり撮影することが出来ました。当初は4割に縮小して行う予定でしたが、強風の影響で瞬く間に火は燃え広がり、結果的に9割近くを焼くことになりました。来年以降の開催に影響が出るのではないか、そんな懸念が出て来ました。当日、土手の上は体感で10m/s前後の風が吹いていました。

今回、一番の目的は火災旋風を撮影することでした。一度、轟音を上げながら火柱が上がりましたが、不覚にも撮影失敗。立ち位置と焦点距離の関係で映像を残すことができませんでした。代わりと言っては何ですが、黒煙がモクモクと立ち上がり、発達した積乱雲のように空を覆うシーンが撮影出来ました。地面が温まると上昇気流が発生するのは周知のこと、大規模な火災や野焼きでは乱流も発生します。勢い良く立ち上った煙が太陽を遮り、辺りが薄暗くなるほどでした。暫くの間、煙が空気中に滞留していて、離れて見るとまるで雨雲のようでした。

*葦・・・よしずの原材料にもなるイネ科の植物。アシが忌み言葉になるためヨシに言い換えた。

渡良瀬遊水地葦焼き

渡良瀬遊水地葦焼き

渡良瀬遊水地葦焼き

まるで映画のワンシーンを見ているような錯覚に陥る。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

基本的に土手の上からの撮影になるため、広角から望遠まで揃えておいたほうが間違いありません。高倍率ズームがあると便利かもしれませんね。燃え上がるタイミングを逃さないことと、立ち位置が重要になってきます。今回は風上で撮影出来たことがラッキーでした。予備のメディアとバッテリーも必需品です。とにかく、短時間で効率良く撮影することが攻略の鍵でしょう。

火災旋風

ファイヤートルネードとも呼ばれる火災旋風。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

立ち位置の関係で小さく写っているだけですが、参考までに火災旋風の写真を掲載しておきます。火災旋風は大規模な火災や野焼きで発生する、炎を纏った旋風です。巨大なつむじ風の様に渦を巻きながら立ち上がり、旋風の温度は1000℃を超えると言われています。関東大震災や東京大空襲の時にも発生し、逃げ場を失った人々が犠牲になっています。今回の葦焼きで確認できた火災旋風は2個、1個目は目の前で火柱が上がりましたが、煙に隠れて撮影失敗。見た目もそうですが、音も凄かったです。強烈な風切り音の様な轟音です。2個目が写真の旋風です。遠い上に煙で視界が悪く、ただの状況写真になってしまったのが残念です。



体感で10m/s前後、強い風切り音に強風を感じる。© Yutaka Aoki. All rights reserved.

足尾鉱毒事件の中心地にもなり、谷中村強制廃村などの歴史がある渡良瀬遊水地。本来の目的は、治水用の調整池ですが、ラムサール条約(湿地の生態系を守る条約)にも登録され、今後は湿地の生態系を守るための、環境保全・再生に力を入れていくと思われます。

*関連リンク・・・Facebookアルバム 渡良瀬遊水地の葦焼き http://goo.gl/freoT

*当サイト内で使用している写真は全て管理人自身による撮影です。写真の無断転用は厳禁です。

写真家・青木豊

Yutaka Aoki
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